’02,4,20 杖植峠、古(いにしえ)の峠道 

 杖植峠とは多野郡万場町から甘楽郡下仁田町へ抜ける古い峠道だ。もちろん車など通る以前の道であり、近年の道路整備により車道が別に作られ、今は完全に忘れ去られた道でもある(注:一部のマニアックな山岳自転車乗りを除く)。
 それにしても読み難い名前だ。杖植はツエタテと読み、万場はマンバ、下仁田はシモニタ(ネギとコンニャクで有名な所だ)。ちなみにここを流れる川は鏑川(カブラガワ)と言い、最近TVコマーシャルで鏑木君が登場するまで読める人は少なかった。
 さてさて、道は人が通らなくなれば野に(山に)戻るのが定め、8年振り程にて訪れるこの道、はたして野に(山に)戻っているのだろうか…。

 久しぶりに来たので下仁田の町より入り口を忘れれてしまった。しばらく通り過ぎてUターンして戻る。七久保林道も全て舗装されている。途中、峠道と交差するあたりに車をデポ、今日は一人って事もあり、のんびりと、上部の落葉ハイウェーの部分だけ下る事にする。下仁田側の半分程、全体の四分の一ってとこか。
 やはり舗装の道は登り易い、目が自然と風景に向けられる。コバイケイソウとニリンソウの群落は以前と同じ場所に広がっていた。エンレイソウ(オオバナノエンレイソウ)やハシリドコロが所々に花を付ける。カタクリはまた違う場所に、ワサビもまた違う場所に群落を作っていた。
 以前、ここを一人で登っている時、車できた男性がコバイケイソウを数束持ち去ろうとするのを目にした。つい荒気に意見などしたら、えらくに恐縮し「お恥ずかしい…」と言って元の所に丁寧に植え直していった。あのおじさん、コバイケイソウをどうするつもりだったのだろう。里ではまず育たない植物だろうに、事実、その翌週だか再びここを走りに来ると、見事その植え直したコバイケイソウのみが枯れていた。
「手に取るな やはり野に置け コバイケイソウ」
(ちなみに有毒植物です。食べない事を薦めます)


車載

花園

ニリンソウ

???


エンレイソウ

ハシリドコロ

カタクリ

ワサビ

 七久保林道は全面舗装化されてしまっていたが、御荷鉾スーパー林道は相変わらずのダートが続いていた。時折エンジン付きのバイク集団が行き交う中、しばし登り下りをくり返す。そして、やがて見覚えある場所に辿り着く、そこが杖植峠。笹薮を少し登り上げと、個人が付けたと思われる「杖植峠」と記した標識がある。ここより、いよいよ8年振りの落葉ハイウェーが始まる。
 林道を離れ、しかし、いきなり大崩落出現。元々ここは若干崩れてはいたのだが、8年の間にこんなに大きくなるとは…上部を担ぎにて遠巻きにする。そして本来の峠越えの道、かすかな践み跡に始まり、タイトコーナー、塹壕状の道がやがて尾根筋に変る頃より落葉の量が増す。
 落葉ハイウェー杖植峠、木々の恵みに感謝。


御荷鉾スーパー林道

杖植峠

崩落

かすかな踏み跡を


塹壕道

尾根道

落葉道

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