’01,8,26 朝日岳


 水上の奥に天上の楽園があると言う。楽園、この言葉に弱い。詳しい場所を訪ねると、どうやらそこは朝日岳らしい。朝日岳。土合より白毛門、笠ガ岳と越え朝日岳、湯檜曽川を挟んで対岸は谷川岳だ。日帰りソロではあるが、まぁ、なんとかなるだろうって事で山行き決定。


谷川概念図

白毛門山頂

笠ガ岳&朝日岳

笠ガ岳山頂

 山は良い。とりあえず、時間を掛けて地道に歩いて行けば、いずれ必ず頂きに立てる。子供にはよく「努力さえすれば何んにでもなれる、歌手でもサッカー選手でも、総理大臣にでも…」などと言うが、あれは嘘だ。世の中どんなに努力しても、なり得るものなど少ない。仕事でも遊びでも、上手くいかない事だらけだ。どんなに祈っても人は死ぬ。雪は解ける。巨人は勝つ(最近芳しく無いが)。宇宙飛行士になれるのは数人。でも、山は良い。努力すれば必ず山頂に立つ事が出来る…好きだ。


振り返れば白毛門

朝日岳山頂

高層湿原

一ノ倉雪渓

 天上の楽園。終わり無きごとく見えた急坂を登りつめ、いくつもの山並を越え、辿り着いた先の楽園。秋の花乱れ、人も無く、酔いどれ天使、木道にひとり…。
 下り。人生なら下るのは簡単だ。何もしなければ良い。自然に底へと辿り着く。しかし、山は違う。とりあえず足を前に出さなければならない…でも、これが辛い、とっても辛い。4時間半で登った山道を4時間半で下る。やはり、下りは板かタイヤがいい。




朝日岳顛末記


 事のはじめはBBSだった。emimiさん夫婦、さんすけさん夫婦ともに、上州は水上の奥、宝川より沢を登りつめ朝日岳へ行くと言う。天上の楽園、そんな雰囲気らしい。妻は夜勤で、まぁ、ひとりだし、行こうかなぁ〜ぁ。行って、山頂で待ち伏せでもしようかな〜ぁ。
 朝日岳。アルペンガイドの折込み付録地図を見ると、土合より白毛門まで2時間、そこから朝日岳まで2時間の計4時間だ。土合までは車で1時間、計5時間にて我が家から山頂に立てる、楽勝だ、楽勝のはずだった・・・。
 でもでも、とりあえず夕方には家を出て、土合にて睡眠、夜明けの出発を考えていた。が、その日、なんとはるか北海道より「三段山2001」なるビデオが届いてしまった。見る。そして早急の感想メール。これが、ちと、過ぎた。テキストにて書きはじめたものだから、止まらない。えっ!もう十時!明日の準備が〜ぁ!いいや〜ぁ、もう、送っちゃえ〜っ!(旦那さん随分失礼な内容でした、ごめんなさい。こんど美味しいもの送りますね)で、風呂入って、準備して、車を飛ばし、土合に着いたのは翌日AM00:30、よし、寝るぞ!明日(今日)は4:30起き、5:00出発だ〜ぁ!。
 AM5:00出発、つまりは4時間にて山頂AM9:00、ビルケ(emimiさん夫婦は正隊員、さんすけさん夫婦はその友人だと初めて今回知った)の山頂到着予定時間はAM9:30、充分だ、充分のはずだった。が、ここでとっても大きなミスをした。眠気に目覚ましの用意を怠った。目覚めるとAM5:15。それでもAM5:30出発。計算上はちょうどの時間だ。とにかく登る登る、あくせく登る。しかし急だ、何なの?この登り。登れど登れど白毛門山頂は見えて来ない。結局、2時間半(AM8:00)かかってやっと白毛門山頂、完全にタイムアウト。あと2時間(AM10:00)でもきっと辿り着かないだろう。
 なんなのこのコースタイム!誰が書いたの!(ito&naruさんかな〜ぁ)。持込んだタイムが書かれたアルペンガイドの折込み付録地図を開く。で、初めて気付く。土合から白毛門まで2:00と掛れた先の矢印はなんと土合側を指していた。白毛門側は3:00・・・力抜ける。そーだよなぁ、ちなみに標高差は約1000m、2時間半なら良く登ったほうかも知れない。しかし、待てよ、3時間って書かれてたのを2時間半で登ったって事は、この先2時間って書かれているのだから、頑張れば一時間半程度で行けたりして。今AM8:00、プラス一時間半でAM9:30。もうちょっと頑張ろうかな〜ぁ!。
 思わぬところに落とし穴はあった。最近花の写真に凝っている。山へ行くと花、実、木の欠片まで撮りまくる。別にどうしようって訳では無い。名前を調べ、覚えるって程度だ。歳をとると、覚える事って少なくなる。通常の生活では新たに覚えなくてはならない事なんて、ほとんど無い。山の花の名前は面白い。由来やら特徴やら覚えていくと、すごく賢くなったような気分になる。で、残りコースタイム2時間と書かれた道のり、まずい!花が沢山!。その度に足を止め、デジカメ取り出し、マニアル操作にてパチリ(マニアル操作って言うのが結構手間がかかる)。
 笠ガ岳を越えるもコースタイム通り。アッ!イワショウブ!パチリ。アッ!ハクサンフロウ!パチリ。幾つかの小ピークを越え、朝日岳が間近に見える、山頂には数人の集団。でも、足下にはエゾリンドウ、ツルリンドウ、ヒメコゴメクサ・・・。朝日岳山頂AM10:00に着くも、すでにそこに人陰は無く、唯一、木道に酔っぱらいおじさんいるのみ。
 湿原より宝川に降りるルートを覗き込む。はるかな尾根上に数人の人陰発見。

「Come Back!」


朝日岳。楽園には蛇が多かった。5匹も見てしまった。
と、蜘蛛よ、お願いだから登山道にお家を作るのはやめておくれ。

「ラーメンほたか」
チャーシュー麺を頼んでしまった。
餃子も付けてしまった。

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