’00,9,3 修那羅峠・言霊の森 

 修那羅峠、始めてそこを訪れたのは随分昔だ。まだ車の免許が無く(高校生?)国鉄(JRでは無く、日本国有鉄道だった)を使ってのまさに旅だった。高崎より信越線・篠ノ井線と乗り継ぎ麻績駅下車、そこからバスに乗って峠下、下車、歩く事数十分。
 修那羅峠、なぜそこを訪れたかは定かだ、そこに彼らがいたから、そう、小さな神々達(仏達)。きっと「なんて、高校生だったんだぁ〜!」と思われるかもしれない。確かに不良では無かったが普通でも無かった。日々、自転車で近隣の神々達(仏達)を尋ね歩いて、そして、その延長で修那羅峠までやって来た(実はその後、奈良や遠く大分・国東まで行った)。そう、20数年も前の事だ、その後も2〜3度訪れたが、それすら20年以上は経っている。
 修那羅峠、今の環境なら行く気になれば車で2時間も掛らない、でも、行く機会、きっかけが無かった。丹羽さんのテレビ番組を見て思い立った、そうだ、峠を越えよう。修那羅峠、久々の修那羅をライジン号で越えよう。
 上田市郊外の運動公園の駐車場より出発。途中幹線を離れ脇道を行くが、奇しくも「東山道」と書かれた案内版発見、両脇蕎麦畑に挟まれた、とてものどかな旧街道でした。
 畑越しに見える山、姨捨伝説で有名な「冠着山」に似ているが「子檀嶺岳」と言う。そして修那羅峠はそのちょうど裏側だ、まだまだ遠い。

 本日、唯一の山道(未舗装道)を期待してやって来たが、そこはきれいにコンクリート舗装されていた。下の蕎麦畑で農家の人としばし話し込む。
「自転車?押さなくちゃぁ登れねぇよ!」
「そうかなぁ、そんなに急だったかなぁ…」
本当だった、インナーに入れてもダメだった、押す。そして「言霊の森」は突然姿を現した(写真右)。

 修那羅峠、そこは信州・上田より青木峠方面に走り、四房にて修那羅川沿いに登る。以前は裸掘りの短いトンネルがあったらしいが、すでに陥落し、今は両側切り落としになっている。その峠を越えて少し下がった位置にトイレを備えた駐車場が出来ていた、もちろん以前はなかったもの。そしてそこから「自転車?押さなくちゃぁ登れねぇよ!」と言われた山道を500M程登る。突然山の中に白木の鳥居があらわれる、そこが今日、本来の目的地、修那羅の石仏が置かれている場所だ。
 正確には「安宮神社」と言う、しかし「修那羅の石仏」と言う方が通っている、そして最近だろう「ことだまの森」と書かれた看板を目にした、言霊、まさにその通りだ。
 修那羅の石仏、江戸末期から明治初頭にかけての物がほとんどだ、その数、数百、そして異色だ。元々、姨捨伝説(楢山節考の世界)を生んだ地方、その当時の生活環境を考える時、ここの石仏はそれを雄弁に物語ってくれる。通常、民間信仰の代表とされる阿弥陀や弥勒が少なく、薬師・地蔵・観音が多い、訳が解らない物も。つまり、死後の極楽浄土を願うより、とりあえずの治病・子安、そして豊作祈願、今を生きる事が一番の問題だった。 

 ここに年月の長さを感じさせるものがあった。ブナの根元に置かれていただろう石仏だ。右は当時(昭和40年代後半)撮った同じ場所のモノクロ写真、解りづらいが、まだ頭部が木の表皮から覗かせている。そして、20数年にてその位置は10B程後退した(もちろん、石仏の位置が変わった訳ではなく、それを囲む木が、成長したと言う事だ)。

 予定ではこの後、氷室沢側に下り坂井村下永井へ、大野田より一本松峠へ登り、冠着山を巻き四十八曲峠へ行くつもりだった。しかし、修那羅で長居しすぎた。おまけに久々の登りにて膝が痛い。暑い。風が強い。等々…沢山言い訳を並べて一本松峠は中止、直接四十八曲峠を登る事にした(ちなみにデジカメ、メディア修那羅にて使い果たし、予備メディア再び壊し以後画像無し)。
 四十八曲峠と言うのは初めて登る、手元にある「信州の峠」(市川健夫薯)によると「昭和39年開通、いまだに舗装は一部」とある。しかし何と言っても昭和48年の本だ、おそらく今は全舗装されているだろう。それにしても秋晴れだ。案の定道路は全て舗装、坂井村側の登りはさして苦労する事無く峠のトンネルへと辿り着く、ほんとに久々、心地よい登りを楽しめた。 
 トンネルは暗闇だ、しかし距離がさほど無くヘッドランプを出すほどでは無かった(今回はナイトツアーの予定は無かったが、一応ヘッドランプは持っていた)。そしてトンネルを抜けると絶景だった。左に冠着山、下は上山田まで標高差600M、ストンと落ちていた。四十八曲と言うのは少しサバを読んでいるのかなと思っていたが、カーブ標識では55と書かれていた。実は五十五曲峠、下りに上山田側を選んで良かった…、と思ったのは言うまでも無い。

付録:修那羅の石仏、一部掲載

大日と思われるが?

蜘蛛に好かれる神様?

蜂に好かれる神様?

モロ?

母子と思われるが?

皇神とあります

インディアンの神様?

餅つきの神様?

鬼?

左うちわの神様?

薪割りの神様?

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