’00,6,2〜4　立山

’00,6,2　立山…みくりが池にジョッキの音がこだました！。

　10ターン！10ターンと思って登ってきた雄山山頂にてやはり迷った。「御前谷カール」急だぁ〜！。そして、果てしなく続いている。止まれるだろうか？10ターンで…。止まった後に待っているのは登り返しだ。40度の登り返しは…辛い。ほんとに止まれるだろうか？途中で…。そうこう言っているうちに、扇沢から一緒だった山スキーのカップルが先に下って行ってしまった。何処まで行くんだろう？「えっ！登り返すの！」やはり扇沢から同じ便で登ってきた山スキー3人組からの情報にて、それじゃぁ〜行かなくちゃぁ〜！即滑走決定！「いざ御前谷！ヒュ〜ゥヒュ〜ゥ！」。ちょっと堅めで粗めだったがまずまずの斜面。で、10ターン＋ちょっと程度にてなんとか止まる。まずは自制心の勝利！。
　そして次なる目標は「山崎カール」。でも、頂上の社務所の裏より覗く姿は若干品粗。それより隣、登山道のすぐ左側を社務所の裏から続いている細いカール(雄山山頂から真西)こっちの方がおもしろそうだ。こんどは登り返しは必要無い「ヒュ〜ゥヒュ〜ゥ！」。もう一本、浄土を登ろうか、なんて思っていた事などすっかり忘れ、今夜の宿「みくりが池温泉」まで「ヒュ〜ゥヒュ〜ゥ！」。

　立山は四度目だ(妻は初めて)。しかしいつも案内人がいた。今回もそのつもりだったが、定員不足により中止となってしまった。で、急きょ宿の予約をした「もしもし、みくりが池ですか、宿泊の予約お願いします…」「はいはい、個室は金曜は一万八百円、土曜は一万二千八百円、相部屋は七千八百円です」「…相部屋でお願いします」。そして相部屋の相手は扇沢トローリーバス改札口にて決まっていた。先頭に並んでた自分達、後に並んでた山スキー3人組、その後ろの山スキーカップル。そう、雄山山頂にて会ったメンバーそのままだ。それ以外のスキー客はトロリーバスには乗っていなかった。
　そして、みくりが池温泉の庭のテーブルでは、山スキーヤーとテレマーカーが、決して初対面とは思えない空気の中でジョッキを交わし合う。今日のツアーの喜びを共に「カンパーイ！」「うお〜！ビールがうま〜い！(らし〜い！)」。

’00,6,3　立山曼陀羅・宇宙の真理は真砂にあった！。

　目覚めると雲の中だった。昨夜より何度目かの温泉の後、ホールにて思案…。まぁ、予報は雨だったのだから覚悟のうえの温泉漬けか…、と、その時「♪あれから〜僕達は〜何かを信じてこれたかなぁ…(すいません、着メロです)」ま、ま、またかぁ！(参照)…でも、携帯の発信者名は「イタガキ」と出た。「な〜んだ、板垣さん、今何処？…えっ、扇沢？じゃぁ早く上がっておいでよ、最高の天気だよ〜ぅ、雷鳥がおいでおいでしてるよ〜ぅ…えっ、針ノ木行くの、天気どう？まあまあ？…そ〜う、じゃ気を付けてねぇ」…ぐぐぐ、ぐやじ〜ぃ！長野側は天気良いようだ、行くぞ〜ぅ！何処でも良いから行くぞ〜ぅ！みくりが池の斜面でも良いから滑るぞ〜う！。　
　今日は、御前谷を滑り内蔵助を登り返す予定だった山スキー3人組も視界不良の為停滞していた。「じゃぁ、一緒に行きましょう」で、作戦、大走を登り内蔵助！登り返して真砂！また登り返して大走！GOODだぁ〜！自制心との戦いだぁ〜！。

　霧も随分と晴れてきた、谷間はほとんど問題ない、あとは山頂付近だ。大走を無事登りきり、真砂分岐に出る。しかし、そこから眺める内蔵助はまったく想像だにしない姿をしていた。尾根から10メートル以上伸びる雪原、クラック、そしてその先は80度はあろうかと思える程の壁。その下は…霧の中だった。「ここ降りるの？…ごめんなさい！もう悪い事しません、許して下さい…」テレマーカーの突然の泣きに岡田斥候隊長が走る。「ここなら大丈夫です〜ぅ」なんとか40度程度の落ち口を見つけてくれた。「でも、下、見えないよ、あっ、行っちゃったぁ…」。しかたない、覚悟を決める。「エイヤァ〜、トウ！」40度斜面を霧の中へ向かって落ちる…ワンターン、ツーターン…3、4、5、やがて霧を抜けるとそこには新たなる試練、自制心との戦いが待っていた、「止まりたく無〜い！」。
　ここもう一度滑ろう！って言う山スキー3人組に「お願いでございます、こんどいつ来られるか解りません、真砂も是非滑らさせて下さ〜い！」と言うテレマーカーの泣き(実は泣き虫なんです)に山スキーヤー「じゃ、行きますか！」「ありがとうございます！」。
　そして真砂、凄い！一瞬霧が晴れた時、全景を見てしまった。まさに宇宙の真理、立山曼陀羅は酒の名に非ず！。「ヒュ〜ゥヒュ〜ゥ！ヒュ〜ゥヒュ〜ゥ！」いつもの倍、ヒュ〜ゥを多用してしまった。そして登り返し、いや、ここはあえて違う言葉を当てよう、喜び返し！。

’00,6,4　立山・・・デザートは湯の丸・蕎麦ソフト、で完了。

　雲上の温泉の名そのままに、風呂から眺める富山湾には雲海が広がっていた。立山曼陀羅、宇宙の真理探究ツアー、今日は最終日。行き着く先は極楽浄土！(と言うテレマーカーに山スキー組も賛同)そのためまず向かうは一ノ越、そして浄土山。　

　昨夕の雨が庭で薄氷を張っている、随分と冷えたようだ。これは一ノ越に向かうにしたがい著明になる。気温4度、風強し、クラストした雪に足をとられる、アイゼンがほしい。一ノ越にて陽にて雪が緩むのをしばし待つ。こんなんだったらもう一杯珈琲を飲んで来るんだった。寒さに岡田さんがストーブでお湯を湧かすと言う、でも、水が無い、みんなエネルゲンに変えてしまった。まぁいいか、ホットオレンジだと思えば(実際そのものの味だった)。1時間程の停滞の後、雪が多少緩んだのを確認し、まず御山谷を荷物をデポする位置まで少し滑る。そしていよいよ極楽浄土を目指して六根清浄…。
　浄土、そして龍王にかけてのカール、そこが今回の最終ラウンド(タンボはおまけ)。ノルハイムに連れてきてもらっている時は、いつも登る時左手に見るだけだった。もちろん滑る技術も無かった。そして今日、やっとこんな斜面も滑れるようになってやって来た不良夫婦二人。ありがとうございました。みんなみんな、あんなこんなも、すべてノルハイム、澤田さん、禰津さん、お二人のおかげです。えっ！来週は5人揃ったから来るって！そ、そんなぁ〜！ひょっとしてうちら夫婦って嫌われてるの？。

　浄土からの滑走も極楽にて無事終了、一路御山谷をトラバース、東一ノ越よりタンボ平へ。そう！ここは一番の見せ所、立山ロープウェイ直下、ロープウェイがわざわざ上空へ来るのを待つテレマーカー。 そして、そのロープウェイより注ぐ240の瞳！滑るテレマーカー「ヒュ〜ゥヒュ〜ゥ！」あ〜ぁ、快感…。

　今回の立山もたくさんのテレマーカーに会った。ソロ、そしてカップル、重荷を担いだ天泊者、十数人のグループ(名古屋の某クラブでした)。皆、当然のごとく挨拶を交わし、今、ここ立山で共に遊べる喜びを伝え合った、これがスタンダードだ。
　今まで、山スキーヤーともたくさんすれ違った、挨拶は普通に交わすのだが、やはり、どこかちょっと違う感覚を感じ・・・と言うより、無理に相違点を探していたのかもしれないが、それ以上の交流をする事はなかった。雪で遊ぶ楽しさを、一番解っているのがテレマーカー、そう勝手に誤解し、「やっぱテレマークだよねぇ〜…」と言いきってしまってた。　
　今回、偶然、同じトロリーバスにて登り、同じ宿で、同じ部屋と言う山スキーヤーと交流した。そして、２日目からは行動も同じ、登りはすべてツボ、奇声をあげて滑り、羊羹を頬張り、ビールに酔う。温泉に浸かり、蕎麦を食し、デザートに蕎麦ソフト！。な、な、な〜んだ〜ぁ、一緒じゃないか〜ぁ！違う所っていったら、滑る時の足の位置、そして転ばない、早い！…圧倒的な経験と技術の差！だけでした。

　藤倉御夫妻様、岡田様。
　拙い不良夫婦のため、 貴重な立山ツアーの時間をさいてくれた事、そして 共に楽しめた事を感謝します。